あるとき、私は旅行に行く予定がありました。
それなのに出発2日前のこと。
急に熱が出て、頭痛もし、起き上がることもままならなくなりました。
「どうしてこんな大事なときに限って」
一人ならまだしも、一緒に行く家族たちにも残念な思いをさせてしまうという焦りもありました。
前日になり、旅行会社の営業終了5分前になり、最後の検温をしました。
「これで熱があれば行かない。」
結果、熱がありました。
このころはコロナ感染症に対する注意喚起がされている真っただ中だったので、仕方なくキャンセルの電話を入れました。
さて、翌日になって、清々しい気分で目を覚ましたのです。
昨日までの不調はどこへやら、とても身体が軽いのです。
「こんなに元気だったら旅行に行けたのに!」と身体に悪態をつきました。
さて、昨日までの状態にはどんな意味があったと思いますか?
別の施術家さんにこの話をすると、
「行かなくて良かったね。
行っていたら2日目に必ず事故にあっていたよ。
身体はそれを知っていたから全力で止めたんだよ」
と言われました。
えーーー、そうだったんですね!
「みんなそうやって身体の声を無視して、
無理をして我がままにふるまい、
文句をいうから病気になるんだよ。
身体にとってみたらせっかく災いを防いだのに
怒られてしまったらやってられないよね。」
とのこと。
私は身体に悪態までついて本当に失礼で申し訳ないことをしてしまっていたのでした。
病気が治るというのは、「痛みが消える」「不愉快な症状が消える」「病変が消える」などいろいろと良いと思えることが起きることを一般的には指すのですが、病気をして気づくこともたくさんあります。
健康がどれだけありがたいことか。
美味しく食べることができる幸せ、歩ける幸せ、よく眠れる幸せ……
そういうことを気づくために病気になることもたくさんあるのです。
もしかしたら、自分自身の気づきだけでなく、周りの人にも気づかせるために病気になることだってあるのです。
だから、ほんとうに良くなるということは、必ずしも症状が消えることではないのです。
無理に病気を治してもすぐに再発する理由がそこにあるのです。
「病気よ、消えろ」「痛みよ、なくなれ」ではない施術をしたいなと思います。